『代替医療のトリック』I – 科学と医療の再入門

本書は、2つの読み方ができます。

1つは、「医療」に対する基本的な心構えを説いた本として。もう1つは、「科学」の考え方や手法のケーススタディとして。

なかでも《科学的根拠に基づく医療》がどのように誕生・発展してきたのかを述べた第1章は、多くの人に読まれるべきだと考えます。例えば、高校の教科書や副読本に採用したりとか。

ジェームス=リンドらの尽力で発展した臨床試験や、ナイチンゲールにより推進された統計に基礎づけられた衛生改革、喫煙の危険性を明らかにしたヒルとドールの研究は、優れた科学的業績であり、医療史のなかで重要なできごとであると理解しました。

臨床試験、衛生の重要性、喫煙の危険性はいずれも現在では常識です。だけど、こうした概念を得るまでには、優れたひらめきと粘り強い思考、多くの人を巻き込んだ精密な実験が必要だったんですね。さらに、こうした概念が多くの人に受け入れられて常識になるまでには多くの苦労があったという点も印象深いです。

第II章から第IV章は、《科学的根拠に基づく医療》を武器に鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブを論じています。これらの章でも重要なのは、いずれの代替医療も効果が小さいという結論だけではなく、科学的に検証した結果として効果が小さいという結論を得た、ということでしょう。

個人的な感想でいえば、近所でよく看板を見かける鍼やカイロプラクティスの話は身近で興味深いけど、ホメオパシーやハーブ療法についてはあまり興味を持てませんでした。ここら辺は、日本と欧米の文化の違いもあるんでしょうね。

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